経営コラム

強みを生かすための財務指標-○○当たり利益

先日、ある酒屋を営むお客様と話していたときのことですが、「取引先を紹介していただいたのだが、効率が良くないので断った。」という話がありました。このお客様は業績も右肩上がりなのですが、まさに「効率が良くないので断った。」ところに成功の秘密があります。

 

 では、この効率が良いとか悪いとかというのは、いったいどういうことなのでしょうか。

 

 酒屋の場合、売上は大きく店舗での小売販売と、飲食店への配達の売上に分かれ、これにインターネットでの通信販売が加わります。この酒屋の一番の強み(コアコンピタンス)は何かというと、店主の飲食店に対するコンサルティングあるいはコミュニケーション能力にあると私は思っています。この強みを最も生かせるのが現状では、飲食店への配達の売上であるわけです。

 

 この酒屋さんが仮にワイン専門店で、どんな料理にも合わせられるだけのワインの品揃えがあるなら、インターネットによる通信販売がその強みを生かせるかもしれませんし、店員がどんな料理にも合うワインを提案できるなら小売販売が、強みを生かすにはよいかもしれません。

 

 少し脱線しましたが、この酒屋さんが業績をあげるためのポイントは、自身の強みを生かすことができる飲食店への配達の効率を良くすることであり、お客さまもこのことを良く理解されているわけなのです。しかし、この「効率が良くないので断った。」ところに私は疑問を感じたのです。

 

「いったい、どういう基準で効率の良し悪しを判断しているのだろう?」と。

 

そこで、次のようにしてはいかがでしょうかと、効率性の基準を提案させていただきました。

 

「1配達当たり粗利益額」-これこそが、最も端的に効率を判断できる基準ではないかと考えました。例えば、配送ルートが効率的であれば、粗利益率が少しばかり低くてもそれを補うことができますし、配送ルートにそって顧客を開拓する方法も考えられます。1配達あたり粗利益額から、その配達分の人件費、ガソリン代などの経費を支払ってどれくらい残るかが分かれば、判断はより正確になるでしょう。

 

 このように、自社の強みを認識し、その強みを生かす戦略を考える上で、○○当たり利益を見つけることはとても重要なことなのです。



「経営コ」ラム 税理士 川西市|かもがわ税理士事務所の経営に役立つ「経営コラム」